最近のAI利用状況と今後利用が増えるためには?

AIニュース 最近のAI利用状況と今後利用が増えるためには?

― 世代別の違いと企業導入の壁、そして実践的なステップ ―

日本におけるAI利用の現状は?

ここ数年、AIの話題はニュースやSNSで見かけない日はないほど身近になりました。特にChatGPTをはじめとする生成AIは「会話ができるAI」として一般にも広く知られるようになり、日本でも利用が確実に広がっています

総務省の調査によると、2025年時点での個人の生成AI利用経験率は26.7%。前年の9%から急増しましたが、米国の68.8%、中国の81.2%と比べるとまだ低い水準です。つまり、日本では「名前は知っているが、実際に使ったことはない」という人が依然として多数派。認知度自体は8割を超えており、関心は非常に高いのに行動に結びついていないのが特徴です。

では、実際に使っている人はどんな目的でAIを活用しているのでしょうか。調査結果をみると、最も多いのは「検索や調べもの」です。「普通にGoogleで検索する代わりにChatGPTで聞いてみる」という使い方ですね。次いで「文章の要約」「アイデア出し」「メールや企画書の下書き」など、仕事や勉強の効率を高める使い方が続きます。一方で「楽しみや遊び目的でAIと雑談する」「クイズやジョークを投げてみる」など、気軽なお試し利用も少なくありません。つまり、便利さと遊び心が入り混じった段階にあるのが日本の現状です。


年代ごとにAIの使い方はどう違う?

AIの使われ方をより深く理解するには、世代ごとの違いを見てみる必要があります。年齢層によって利用率も利用内容もかなり異なっているのです。

10代~20代

学業サポートが中心です。英作文の添削やレポート作成のヒント、勉強中にわからない部分を質問するなど、学習ツールとして自然に取り入れているのが特徴。ある調査では高校生の約6割が「AIを学習に使ったことがある」と回答しています。さらにデジタルネイティブ世代らしく、「検索エンジンより先にAIに質問する」という新しい習慣も生まれています。情報探索の出発点がすでにAIになりつつあるのです。

 

30代~40代

この世代は働き盛りで、業務効率化ツールとしての活用が増えています。企画書の草案を出してもらう、会議の議事録を要約させる、プログラムコードの一部をAIに書かせるなど、「下準備」や「補助」での利用が目立ちます。全体の利用率はまだ3割前後にとどまりますが、「興味はあるがまだ手を出していない」人も多く、今後最も伸びる余地を持つ世代と言えます。

50代~60代

現状の利用率は2割前後と低めですが、近年じわじわと利用者が増えています。最初は「難しそう」と敬遠していた人も、一度使ってみると「報告書作成が楽になった」「趣味の文章作りに役立つ」と便利さを実感し、継続利用につながるケースが増えています。つまり、きっかけさえあれば前向きに取り入れやすい世代です。

このように、若年層が先行し、中高年層が徐々に追随しているのが日本の特徴です。読者の皆さんも「自分の世代はどうだろう?」と照らし合わせると、活用のイメージが湧きやすいのではないでしょうか。


個人と企業では導入状況にどんな差がある?

ここで注目したいのは、個人利用と企業導入のギャップです。

個人の場合は気軽に試せるため、約3割が「一度は使ったことがある」という調査結果があります。一方で企業の正式導入率は25%程度にとどまり、4社に1社しか業務で活用できていないのです。大企業では管理職層が積極的に導入を進める事例もありますが、中小企業では人材不足や判断の遅れが目立ちます。

導入を妨げる要因

  • ガバナンス不足:AI利用に関する方針が未定、あるいは禁止の会社が半数近く。社員は安心して使えません。
  • 人材不足:専門知識を持つ推進役が不在。特に中小企業では顕著です。
  • 不安要素:情報漏えい、誤情報、著作権リスクへの懸念。
  • 形だけ導入する文化:ここは私の所見ですが、日本企業によくある「形だけ取り入れて満足する」傾向もAI導入を阻んでいると思います。例えば自己評価制度やKPI制度を導入しただけで成果に繋がらず、それで安心してしまうケース。AIでも「これからはAIだ!」と号令をかけるだけで、具体的に何をするか決めずに導入した気になっている会社が少なくありません。これでは現場は混乱し、活用が進まないのも当然です。

こうした要因が重なり、個人は気軽に試せる一方、企業は慎重にならざるを得ない現状があります。



どうやってAI導入を進めればいい?

個人が始めるステップ

  • まずは触ってみる:ChatGPTなど無料ツールで簡単な質問から。
  • 小さな作業に取り入れる:メールの言い回しや調べ物の要約など、5分でできることを試す。
  • 結果を必ず確認する:誤情報もあるため、参考として使い自分で整える。
  • 安全に配慮する:個人情報や機密を入力しない。
  • 活用事例を学ぶ:コミュニティや記事から新しい使い方を収集。

こうした積み重ねが「AIは難しい」という意識を減らし、日常の相棒にしていく第一歩になります。

企業が進めるステップ

  • 社内方針を決める:最低限のルールを明文化。
  • スモールスタート:一部署や一業務で試し、効果を検証。
  • 社員教育を行う:研修や勉強会でリテラシーを高める。
  • 推進人材を育成する:小さな成功体験を積んだ社員をAIリーダーに。
  • リスク対策を導入する:セキュリティ体制や法務チェックを並行して整備。

特に重要なのは「導入した気になる」のではなく、小さな成功例を作り社内で共有することです。これにより「AIって便利だ」という空気が広がり、次のステップへ進みやすくなります。


まとめ

日本におけるAI利用は確実に拡大していますが、世代や立場によって使い方や温度差には大きな違いがあります。

  • 10代~20代は学習や情報探索に積極的
  • 30代~40代は業務効率化で伸びしろ大
  • 50代~60代もきっかけ次第で前向きに導入

一方で企業はガバナンスや人材不足、そして「形だけ導入で満足する」文化が課題になっています。

それでも、個人も企業も小さな成功体験を積むことが次の一歩を生む鍵です。AIは特別なものではなく、日々の仕事や生活を助けてくれるパートナー。明日の業務や暮らしで、ぜひ一度AIに相談してみてください。それが新しい活用の扉を開く第一歩になるでしょう。

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